最悪の場合、民事裁判などの法的手続きに移行すれば売掛金回収の確率は高くなります。しかし、そのような強硬な手段を選ぶと債務者とのこれまでの信頼関係が壊れてしまう恐れがあります。とは言え、債務者が倒産して売掛金回収が不可能になっては債権者としても困ります。そのため債権者は、「回収不可能」と判断した時点で速やかに法的手続きに移り、強制的に売掛金を回収する必要があります。

「回収不可能」と債権者が判断するには、相手方の資力を確認する必要があります。資力とは「お金を支払う事ができる能力」を指します。具体的な数値として資力を算出する事は困難ですが、色々な情報から資力を推定する事が可能です。例えば、債務者への連絡が困難になったり、債務者が貸金業者と取引しているという情報がある場合には、「債務者の資力が尽きかけている」と判断する事ができます。また、債務者が在庫処分に踏み切った場合にも、資力が尽きた可能性が高いです。

しかし「資力が無い」債務者から売掛金を回収する事は著しく困難です。法的手続きに移ったところで、債権者に支払われるべき金銭がどこにも無いからです。そのような場合には、速やかに弁護士に相談しましょう。最後まで売掛金回収を諦めてはならないのです。

消滅時効とは「一定期間、債権が行使されなかった場合に、その権利が消滅する制度」です。何故そのような制度があるかと言えば「債権を行使できる状態なのに何もしないのはおかしい。それならば債権は認められない。」という考え方の下で法律が定められているからです。

実は売掛金未払いの状態が続くと、売掛金の存在の消滅時効が来てしまいます。債権者としては、消滅時効までに速やかに売掛金を回収する必要があります。売掛金の消滅時効は売掛金の種類によって違います。宿泊料、運送費、飲食代に該当する売掛金は、わずか1年で消滅してしまいます。製造業、卸売業、小売業といった業種の売掛金は2年で、設計費や建築・工事の売掛金は3年で消滅します。またどの種別にも属さない売掛金であっても、5年が経過すると全て消滅してしまいます。

消滅時効が成立するには、「該当する期間の間に一切の返済が無い」事が条件です。つまり債務者の方にとってみれば、「消滅時効まで支払いを拒み続けた方が得」になります。債権者としては、なんだか釈然としないものでしょう。しかし消滅時効に対して債権者が何もできないかと言うと、そうではありません。時効が迫っている場合でも、様々な法的手続きによって時効を中断する事が可能です。「支払督促」など、様々な手段をとる事ができます。

売掛金を期日までにきちんと支払う事は、商売人ならば当たり前の行為です。しかし、取引先にも様々な事情があります。止むを得ず売掛金を期日までに支払えず、こちらに謝罪してくる会社もあるでしょう。その時にこちら側、つまり「債権者」としては、どのように対応すれば良いのでしょうか。

相手の事情に配慮して売掛金支払いを延期してあげれば、たしかに両者の関係は今後も続くでしょう。しかしそこは心を鬼にしなければなりません。売掛金未回収で困る事になるのは、こちら側だからです。速やかに実行しなければならない売掛金回収ですが、その際に注意すべき点がいくつかあります。

まず、相手に対して必ず「支払い期限」を通告しましょう。この時に「1ヶ月以内に」などという表現ではなく、「何年何月何日までに」とはっきり伝えます。これは相手が「今支払えないだけ」なのか、「今後も支払える見込みがない」のかを見極めるためにも重要です。

また、回収方法は時間経過に合わせてどんどん変えていきましょう。まずは電話で「支払ってくださいね」と言うだけでも効果的です。非常に良心的な相手であればそれだけで回収が済む場合があります。相手に悪意があって売掛金を支払わない場合は、最悪の場合として民事裁判も想定しましょう。

以上のような注意点が重要なのですが、それと併せて「消滅時効の存在」、「相手方の資力」も重要です。債権者は売掛金の消滅時効について知っておかなければなりませんし、相手方の資力を調査する必要もあります。